【京都】【一柳米来留】そして近江商人は大阪からいなくなった
【今回の話も京都に関する話です。しかし、とある建物が解体される危機に瀕しており、それを知っていただくために書いております。】
みなさん、突然ですが、一柳米来留さんをご存じでしょうか?
たぶん、多くの人は御存じないと思います。まず、彼は日本人です。
「そんなのあたりまえじゃないか? 漢字だし」そう思われるかも知れません。
では、どう読むのか?
(ひとつやなぎめれる)と読むのですが、彼はもともと外国人・・・そう、帰化された方なのです。名前は、William Merrell Vories(ウィリアム・メレル・ヴォーリズ)といいます。彼は、「青い目の近江商人」と呼ばれ、建築家として活躍しました。
「????」ここまで読まれた方は、近江商人なのに建築家??と疑問に思われたかもしれません。彼は、会社経営者で建築家でもあるマルチな人間だったのです。
今日は、彼が建築家であった歴史をたどります。
京都で始まった建築家としての活動
ヴォーリズが建築家としての仕事を始めたのは、京都でした。1908年に建築設計事務所(今の一粒社ヴォーリズ建築事務所)を設立しました。
キリスト教を信仰していた彼は、1913年に日本基督教団京都御幸町教会を建設しました。それ以来、多くのキリスト教の施設をはじめとする建築を手がけました。
同志社大学内にヴォーリズ建築はあります。啓明館 (図書館)、アーモスト館は、国の登録有形文化財です。また、致遠館、新島遺品庫、同志社宣教師館(アーモスト館北隣)もヴォーリズの作品になります。
建築ではないが、同志社カレッジソングの作詞も行っています。
同志社大学の近くには、京都御所や相国寺などがあり、多くの大学生に安らぎを与えています。写真は啓明館。
ウィキペディアに写真がありましたので、転載いたします。
"Doshisha Univ Keimeikan-20071215" by Otraff - 投稿者撮影. Licensed under GFDL via Wikipedia - https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Doshisha_Univ_Keimeikan-20071215.jpg#/media/File:Doshisha_Univ_Keimeikan-20071215.jpg
2.大丸ヴィラ
先ほどの同志社大学を下り、京都御所横にある建物。こちらもヴォーリズ建築です。現在は京都市指定文化財となっており、私人が大切に管理しております。非公開の建築物になります。今後も、大切に受け継がれていく素敵な家だと思いますので、私たちは邪魔にならないように、通り過ぎるだけです。
3.北京料理 東華菜館 本店
こちらも登録有形文化財になっている「営業している中華料理店」です。なんと日本最古のエレベーターがこちらにあります。ヴォーリズ建築を体験するには絶好の場所ですのでおすすめいたします。鴨川にあるため、通いやすいです。
大阪から消えてしまう建物
1.大丸心斎橋店
ヴォーリズの建物は、現役の商業施設にもあります。ヴォーリズ建築のなかでも、長い期間を立てて建設された「大丸心斎橋店」です。こちらの建物が、12月より取り壊しが行われ、一部しか残らないことになりました。
File:DAIMARU Shinsaibashi store Osaka Japan01-r.jpg - Wikimedia Commonsより
この発表に対し、一粒社ヴォーリズ建築事務所は、声高らかに先ほどのHPにて、協力を惜しまないと主張しております。
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- 2015/10/06(Fri) 17:30
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最新ニュースのページに大丸心斎橋店本館の建て替えに関して、「心斎橋筋一丁目地区における大阪都市計画都市再生特別地区の都市計画案に対する意見書」を掲載いたしました。
http://www.vories.co.jp/press/index.html
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- 2015/08/28(Fri) 17:30
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最新ニュースのページに大丸心斎橋店本館の建て替えに関して、しかるべき再生のありかたを今一度考えていただきたく、声明「大丸心斎橋店本館について願うこと」を掲載いたしました。
http://www.vories.co.jp/press/index.html
現状のままですと、大阪からヴォーリズ建築が消えていくのは時間の問題だと思います。
皆様も、ぜひ営業が終了する12月30日までにこの美しい建造物の現状の姿を見られることをお勧めいたします。(保存がどこまでなされるのか今のところわからないため)
建物には個性がある・・・高さだけではない。それを伝えてくれた近江商人と大丸創設者である下村氏の関係が伝わる建築物が、出来る限り残ることを祈っております。